胸腰部椎間板ヘルニア

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脊髄とは

脊髄は、脳からの指令を伝達する最も太い神経です。それぞれ脊髄は、
頚部(けいぶ):首の部分
胸腰部(きょうようぶ):背中の部分
腰仙部(ようせんぶ):尾っぽの付け根部分
の3つの区画に大まかに分けられます。

胸腰部椎間板ヘルニア

今回は、「胸腰部」での椎間板ヘルニアの特徴について、お話しようと思います。

胸腰部椎間板ヘルニアとは

背骨の間には、背骨同士の衝撃を吸収する「椎間板」というクッションがあります。
椎間板は、中心にゼリー状の「髄核」、その周囲に「線維輪」という2層があります。

胸腰部椎間板ヘルニア

イメージは“あんぱん”を想像してみて下さい。
この椎間板が飛び出てしまい、脊髄を圧迫するのが椎間板ヘルニアです。

胸腰部椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアはなぜ起こるのか

椎間板ヘルニアは好発犬種として

  • ミニチュアダックスフンド
  • ビーグル
  • チワワ

などが知られています。
なぜ、これら犬種では椎間板ヘルニアが起こりやすいのでしょう? これらの犬種は、「軟骨異栄養性犬種」と呼ばれています。 本来なら柔らかく、衝撃吸収の役割を担う椎間板が、かなり 若い年齢で中心部の水分が減り、硬くなってしまう事で 椎間板ヘルニアが発症しやすくなってしまいます。

重症度

胸腰部椎間板ヘルニアは、重症度により5段階に分類されます。 分類は様々ですが、最も広く使用されている分類方法は以下の通りです。

胸腰部椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアの分類

椎間板ヘルニアは種類により、以下の2つに分類されます。

ハンセンⅠ型

比較的若い年齢で発生し、急に症状が出ます。

胸腰部椎間板ヘルニア

ハンセンⅡ型

加齢と共に、厚くなった線維輪で脊髄が圧迫されます。

胸腰部椎間板ヘルニア

Ⅱ型は、成犬~高齢犬に多く、症状も、時折みられる痛みや後ろ足のふらつきなど、症状も緩慢としており、慢性で徐々に進行する経過が多いです。

診断

身体検査、神経学的検査で脊髄障害の原因部位を絞り主にMRIを用いて、脊髄の圧迫状況を確認します。

特に手術方法を決定する上で、MRIで椎間板物質が脊髄を「どの様に」圧迫しているかは、治療計画を考える上で、重要な要素となります。
また、MRIで脊髄が「どの程度」ダメージを負っているかも重要です。

治療

外科治療

脊髄の障害が強くみられる場合や、症状が軽い場合でも 強い圧迫がみられる場合には、外科治療を選択します。

当センターでは、 胸腰部椎間板ヘルニアに対し

  • 片側椎弓切除術
  • 小切開椎弓切除術
  • 部分側方椎体切除術(Partial Lateral Corpectomy)

という3つの手術を主に使い分けて対応しています。
これら手術方法の違いは、別の機会にお話できればと思います。

保存治療

脊髄の圧迫が軽い場合は、保存治療を選択します。 この治療で最も重要なのは徹底した「ケージレスト(運動制限)」です。 痛みがみられる場合には、運動制限に併せて、お薬による痛みの 緩和などを選択します。

最後に

椎間板ヘルニアでの「痛み」「機能障害」といった症状は、いずれも 患者さん自身は元より、一緒に生活する御家族のQOL(生活の質)に 関わる病気です。
生涯を可能な限り快適に過ごして頂く為の、御手伝いが出来ればと思っています。

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