ドライアイ

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ドライアイ

ドライアイは、みなさんもCMを見たり、自覚症状のある人もいるので身近な病気ですよね。
涙の分泌量が減ったり、涙の質が低下することによって目の表面が乾燥する病気です。

動物でもドライアイはあり、特に犬ではよく見られる病気の一つです。 ただし犬の場合は涙液の分泌量が減ることによって起こるドライアイが多く、獣医学では乾燥性角結膜炎(KCS)と呼ばれます。

ドライアイの話をする前に、基礎的な涙の膜(涙膜)の話をしようと思います。 【涙】涙腺と言われる上まぶたの外側にある腺組織と瞬膜腺と言われる瞬膜の根元に存在する腺組織から分泌される液体成分が主となっています。 (ちなみに瞬膜腺は人にはありません。犬や猫に存在する瞬膜は人にはないからです。)

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涙には、それ以外にも油分やムチンと言われる成分から成り立っています。
水分とムチンは混じり合っていますので、油分と水分+ムチンの2層構造というわけです。

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この油分、水分+ムチンが正常に存在しないと目の表面は潤うことができず乾燥します 涙液の量に問題があっても、質に問題があっても同じ“乾燥”という問題が起こります。

人の場合

コンタクトレンズ装用やパソコンやスマホのモニターを長時間見続けるなどがドライアイの原因の一つとされています。

犬の場合

自分自身の免疫機能が腺組織を攻撃して涙液量を減少させること(免疫介在性腺炎)が最も多い原因とされています。
それ以外にも神経系の問題や中毒、感染症などでもドライアイになります。また糖尿病などの全身疾患が原因になることがあります。

ドライアイの症状

  • 白目の充血
  • 痛み
  • 角膜への血管新生
  • 色素沈着
  • 角膜潰瘍

などがあります。

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それ以外にもオーナーさんにわかりやすい症状としては目やにがあります。

涙の液体成分が減ることにより、粘液質の半透明の目やにが目立ち、さらに症状が進むと黄色い乾燥した目やにが目の周りにこびりつくようになります。

角膜には涙によって酸素が供給されるため、ドライアイになると酸素不足となり、また乾燥することにより慢性刺激が加わります。その結果血管が入って角膜が濁ってきたり黒くなったりします。

ひどくなると見えなくなることもありますし、失明まで行かなくても角膜の混濁により視覚低下が起こります。

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診断

  • 涙液量を測定したり
  • 涙膜の安定性を調べたりする

ことによって行われます。

一般的にはシルマーティア試験紙という試験紙を用いて、1分間に出る涙の量を測定する方法が行われます。

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正常は15mm以上とされており、
10mm以下で症状がひどくなり、
5mm以下では重度のドライアイになります。
その他には涙液が低下するような神経学的異常(顔面神経麻痺など)や中毒や感染症などがないかどうか問診や検査で調べます。

治療

  • 涙液を産生させる目薬を点眼するか
  • 涙液の代わりになるもの(人工涙液)を点眼するか

になります。

理想的には涙液産生量を増やすことですが、涙腺がもともと少なかったり、ダメージを受けすぎていると治療してもうまくいかないことがあります。
またうまく涙液を産生できても、治療をやめるとまた涙液が少なくなって症状が再発します。多くの場合には治療の継続が必要になります。
残っている腺組織が減れば減るほど治療への反応が悪くなります。
犬のドライアイの治療にはオプティミューンという眼軟膏を使用しますが

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反応が悪ければさらに強力な点眼薬を使用することもあります。

点眼でうまく涙液が増えれば良いのですが、増えない場合には人工涙液を点眼しなければなりません。
ただし人工涙液ではすぐに乾燥してしまうため、頻回の点眼をするかできるだけ効果の長い点眼薬を使用します。

ドライアイ

ドライアイは簡単な病気のように見えても、長期の治療と頻回の点眼が必要になる厄介な病気の一つです。
また治療には点眼が不可欠になるため、点眼できない患者さんにはオーナー様、患者さん双方にストレスがかかります。
初期治療が重要になりますので、気になることがあれば主治医に相談してください。

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